ICU(集中治療室)に大切な家族が入院したら
ICU(集中治療室)に自分が入院することになったら
想像することもないと思いますが、いつ私たちの身に起きるか分からない、現実です
しかし、集中治療室といえど、そんなに四六時中治療をしているわけではありません
体調は悪いにしても、ベッドでいる時間が非常に長いです
そこで、
・動画を見たいをスマホじゃなくて大きな画面で見たい
・映画を見たい
・少しだけ仕事のメールを返信したい
そんなこともあると思います
そこで、ICU(集中治療室)でパソコンなんて使ってもいいの?という疑問にお答えします
ICU、集中治療室では患者は暇なのか
そもそもパソコンなんてぽちぽちするほど、そんな暇は患者にあるのでしょうか
ICUにはそんなに長く滞在するものなのでしょうか
患者の病態によると言ってしまえばそれまでですが、参考になる情報提供ができればと思います
ICU、集中治療室で患者は暇なのか
ICUは集中治療という名だけあって、集中的に治療します
しかしだからと言って患者側がどれだけ忙しいかはわかりません
ICUでの1日の大まかなスケジュールは過去に紹介したので参考にしてください
ICUで患者がやらなければいけないことは、主に以下の4つになります
・食事(食べて良い病態であれば)
・点滴、検査、透析、処置(内視鏡治療、超音波検査など)
・リハビリテーション
・トイレ
・安静
食事は時間がかかるとはいえ、あまり食欲がない患者様が多く、3食合わせても1時間とかからないでしょう
点滴や検査、治療は、正直全く読めません
リハビリテーションは1日20分程度が平均とされています
最新のICUでのリハビリの論文でも、平均値が20分±14.6分でたくさんやった方だと紹介されています
トイレが意外と大変で、おむつ交換なども含めると1日1時間程度はトータルかかるでしょう
そして最も長い時間、それが安静期間です
病態にもよりますが、頭を上げることも許されない時間、自由に横を向けない時もあります
ベッドで天井だけを見ている時間が、おそらく20時間程度はあるのが通常です
体調が悪い、ということを置いておけば、ICUにいたとしても、患者側には多くの何もしていない時間があることは事実です
その時間を有効に使えるのであれば、それに越したことはないと思います
ICU、集中治療室にはどれくらい滞在するか
ベッドで寝ている時間が20時間以上あるようなICUでの生活はどれぐらい続くのでしょうか
これも病気による、と言ってしまえばそれまでですが、ある程度は参考資料を提示します
まず、近年はICUの滞在時間はどんどん短くなっています
治療は常に進化し続けており、今までは3日かかっていた治療が1日で終わることも珍しくありません
一方で、治療が進化するあまり、今まで助からなかった命が助かっていることも事実です
そのため、数日で亡くなっていた命が、2週間かかって命が助かり、一般病棟へ、という流れもあります
もちろん、12〜13日、全て意識があるわけではありませんし、一週間目が覚めない、なんて話を聞いたことがあるでしょう
近年は心臓の手術をしても3日で一般病棟に行くような時代ですから、一概には言えませんが、参考にしていただけると幸いです
ICU、集中治療室ではパソコンの電波は医療機器に影響はないのか
なぜ病院で電話が使えない場所があるのか、それは携帯電話の電波が医療機器に影響を与える可能性を否定できないからです
電車でも優先席の近くでは携帯電話の電源を切るような文章が書かれています
航空機内でも、電波を発する機器を使うことは航空法で禁止されています
これらは、1997年に行われた不要電波問題対策協議会によって行われた調査に基づきます
現在の電波は “4G” や “5G” が使われていますが、当時は “2G” が使われていました
当時主流だった**PDC方式(日本の2G規格)**の携帯電話と、各種医療機器(植込み型ペースメーカー、人工呼吸器、心電図モニターなど)を様々な条件下で近づけ、影響を調べる実験が行われました。
実験の結果、PDC方式の携帯電話が「断続送信(間欠送信)」という特殊な送信方法をとるため、その電波が医療機器の電子回路にノイズとして影響を与えやすいことが確認されました。
特に植込み型ペースメーカーに対しては、最大で22cmの距離まで近づけた際に、一時的なペーシングの抑制やノイズの混入といった影響が観測されたケースが報告されました。
この報告を受けて、日本の総務省(当時は郵政省)は「電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書」をまとめ、指針を発表しました。
最新の指針(2014年改訂以降)**では、以下のようにまとめられており、これが現在の見解です
- 第4世代(4G)携帯電話など、新しい電波方式では医療機器への影響は非常に小さい。
- 植込み型医療機器(ペースメーカーなど)からは、15cm程度の離隔距離を保つことが望ましい。
ではなぜ今でも院内での携帯電話が禁止されている場所があるのでしょうか?
これは、日本人の特徴とも言えますが、患者さんやご家族が大きな声で通話したり、カメラのシャッター音が鳴ったりすることが、医療従事者の集中を妨げたり、他の患者さんの安静を害したりする**「療養環境の維持」**という側面が大きいと言えるでしょう
結論を申し上げて、ICU、集中治療室で携帯電話、PCを使うことが医療機器に影響を与えることはまずあり得ません
患者の携帯電話の電源を切ることもありませんし、胸ポケットに入れたまま療養している患者もいます
医療者側がそれらを注意することもありませんので、安心して頂ければと思います
ICU、集中治療室にWifiはあるのか
近年、病院サイドでWifiが提供されているところが増えてきました
2020年に行われた電波環境協議会のアンケート調査によると、30%以上の施設で、患者向けにWifiを提供しています
https://www.emcc-info.net/medical_emc/202107/medical_guide_rvsn.pdf
2016年には15%程度であったことを考えると、現在では更なる施設で導入されていることでしょう
そして、Wifiが導入されている施設では、ICU(集中治療室)でも問題なくWifiを使うことができます
なぜなら、そのWifiは医療者も使っているからです(使っている回線は違っても)
院内で使うPCや情報共有には今やインターネットは欠かせません
それはICUのような情報が集中する場所では絶対に必要ですよね
まずは、病院のHPでWifi対応しているかを確認した方が良いでしょう
もしなければ、レンんタルのポケットWifiを検討した方が確実と言えるでしょう
Wifiが導入されている施設では、ICU(集中治療室)でもWifiを使うことができます
病院のHPを確認し、対応していなければレンタルのポケットWifiを検討した方が無難
ICU、集中治療室はそもそも電波が悪い
病院側がWifiを提供していない場合には、ご自身のスマホからのデザリングをしないとパソコンをインターネットに繋げることができません
最近は格安スマホ回線が普及しており、場所によって、時間によって電波が繋がりにくいことを経験する方も多いでしょう
病院という環境はコンクリートの建物に覆われており、作りも厳重であるため、一般的には電波を通しにくい構造といえます
そして、ICUという場所は、以前にも紹介しましたが、病院の奥深に作られていることが多いです
なぜなら手術室と近い場所に位置していることが多く、手術室には窓を作ることができないからです
つまりICUは病院の構造上、窓が少なく、病院の奥深くに作られていることから、一般的に電波が悪い状態と考えておいた方が良いです
事実、当院でもとある格安スマホ回線は全く繋がらなくなったと教授がぼやいていました、、、
ポケットWifiをレンタルしておくことが、無難であるといえますね
ICU、集中治療室でパソコンの充電はできる
ICUでスマホやパソコンを使うとなると、充電が必要になります
たくさんの機械が稼働しているICUで、電源を貸してくれるでしょうか
結論から申し上げて、現在のICUでは電源を使わせてくれる施設がほとんどです

ICUでは多くの点滴や機械を必要とするため、一つの病室に、10個近くのコンセントがあります
中でも図のようにたくさんの点滴ポンプを使う場合は、一つ一つのポンプに電源が必要となるため、マルチメディアコンセントを使うことも多いです
また、医療用のコンセント、特に停電用の赤色コンセントを生命維持装置には使うと決まってます
そのため、緊急性のない機械や患者様のパソコン、スマホの充電や、髭剃りの充電に使うことも許可されていることが多いです
一方で、注意点もあります
それは、充電中は医療者がコンセントに引っ掛けてパソコンが床に落ちたり、破損することです
病院の可動式テーブル(オーバーテーブル)は非常に動きやすく、滑り落ちやすいです
また、短いケーブルでの充電は、少しテーブルを動かしただけで転落することもあります
充電ケーブルはなるべく長いものを準備すること、スマホには落とした時のためにスマホカバーをつけておくことをお勧めします
ICUでもパソコンを充電させてもらえる施設がほとんど
ただ充電中の落下事故を防ぐためにも、長めの充電ケーブルや衝撃吸収用のカバーをお勧め
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