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心臓リハビリテーション指導士の取得を目指して勉強中のりよたろです
心リハ指導士を目指す皆さんは、既に気づいているかと思いますが、
この資格試験には、過去問がありません!!!
問題集がありません!!!
インターネットで検索しても、わずかな方のわずかな記憶が垣間見えるのみ。。。
本試験の勉強をするには、
日本心臓リハビリテーション学会が出版している
なんと合計383ページの
2022年増補改訂版 指導士資格認定資格準拠 心臓リハビリテーション必携
これを読むのみです
私にはそんな効率の悪い勉強は耐えられなかったので、先輩方の力を借りることにしました
私の職場にいる、既に心リハ指導士の資格を取得した先輩、同僚に、
記憶の許す限り、過去問作成にご協力頂きました!!
というわけで、ただ過去問を共有するだけではつまらないので、
過去問について勉強がてら解説しつつ、一問一問を深く考えてみようと思います
ということで、今回は
「第9回 狭心症・心筋梗塞 編」 を勉強していこうと思います
心臓リハビリ指導士 過去問 狭心症・心筋梗塞編
坂道を登ると胸痛が10分生じるが、安静にて軽快する。トロポニンTの上昇はない。
この患者の検査・治療はどれを選択すべきか
- 即時、あるいは早期あるいは後期にCAG・PCIを検討する
- 血行再建困難な施設であれば、即時に血行再建が可能な施設へ搬送する
- 抗血小板薬を外来で開始し、非侵襲的な負荷試験で虚血の有無を判定する
- 早期に待機的に冠動脈バイパス(CABG)を推奨する
正しい選択肢:3 誤った選択肢:1,2,4
心臓リハビリ指導士 過去問 狭心症・心筋梗塞編 解説
まず、狭心症には4つの種類があります
- 安定した狭心症
- 不安定狭心症
- 無症候性心筋虚血
- 冠攣縮性狭心症
2,3,4について順番に解説していきます
不安定狭心症
不安定狭心症のフローチャートです
ここで重要なのは、高リスク、中リスク、低リスクの判別です
判別方法は下図に示します
高リスク・中リスクは20分以上の胸痛、心電図変化、トロポニンの変化を伴います
高リスク・中リスク判定となれば、血行再建(PCIもしくはCABG)へと移行しますが、
低リスクであれば再検査の上で、非侵襲的な虚血評価ののち、血行再建を検討します
つまり、中リスクと低リスクの区別が重要だということですね
また、高リスク・中リスクなのか、低リスクなのかは上記の表で確認します
重要な点は、胸痛の持続時間、心電図変化の有無、トロポニンの上昇の有無で
中リスクと低リスクが分かれる点です
フローチャートからも、中リスクと低リスクを区別することが重要ですので、
その点に注意しておきましょう
無症候性心筋虚血
名前の通り、自覚症状、つまり胸痛がありません
重症な糖尿病、心臓の痛覚伝道道機能障害、加齢などが原因で、
本来は自覚症状が生じてもおかしくない状態でも、自覚症状を伴わない状態です
検診などで偶発的に見つかる場合が多く、
狭心症のフローチャートに沿った治療がなされると良いでしょう
冠攣縮性狭心症
これは冠動脈の血管収縮・弛緩作用のバランスが障害された状態です
特徴は、夜間〜早朝にかけての安静時胸痛です
心電図は狭窄具合に応じた変化を見せます
治療は発作時には硝酸薬(ニトロ、ニコランジル、ミオコールなど)を舌下投与し、
予防にはカルシウム拮抗薬(アダラート、ペルジピンなど)や持続性硝酸薬を投与します
治療に血行再建が検討されないことには注意が必要ですね
心臓リハビリ指導士 過去問 狭心症・心筋梗塞編
狭心症・心筋梗塞に対する治療で誤った組み合わせを選択せよ
- たこつぼ型心筋症 ー POBA
- 心筋梗塞 ー DES
- 狭心症3枝病変 ー CABG
- 左前下行枝近位部病変のない1枝病変 ー PCI
正しい選択肢:2,3,4 誤った選択肢:1
心臓リハビリ指導士 過去問 狭心症・心筋梗塞編
今回の問題は、狭心症・心筋梗塞・たこつぼ型心筋症の治療に関する問題ですね
狭心症と心筋梗塞に対してはPCIもしくはCABGが選択されますが、
その詳細は複雑なものです
順番に押さえておきましょう
心筋梗塞
心筋梗塞の治療の主は、再灌流療法になります
再灌流療法の目的は、冠動脈を再開し、虚血心筋を救済することです
発症後12時間以内で、ST上昇を認める場合には、上記の目的のために
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行います
PCIには主にPOBAとDESが存在します
POBA(バルーンによる冠動脈拡張術)は、狭窄している冠動脈内で風船を膨らませて
再灌流を得る治療ですが、大きな問題として再狭窄が指摘されました
そこで登場したのがDES(薬剤溶出性の冠動脈内ステント留置術)です
狭窄している冠動脈内に薬剤溶出性のステントを留置することで、
再狭窄を防ぐことが可能となりました
急性心筋梗塞の場合は、できるだけ速やかにPCIを行うことが重要とされます
PCIの合併症として、過去に出題されたのが、右室梗塞です
V3ー V6のST上昇が、右室梗塞の所見であり、
十分な補液と強心薬の投与が治療となります
たこつぼ型心筋症
急性心筋梗塞に類似した胸痛と心電図を示すことで、
心筋梗塞と鑑別が難しいのが、たこつぼ型心筋症です
しかし病態は心筋梗塞と全く異なります
たこつぼ型心筋症は壁運動異常のみが起こるため、冠動脈の虚血はありません
したがって、虚血に対するPCIは不要であり、壁運動異常に対する心不全治療がメインとなります
冠動脈疾患に対する血行再建の推奨とエビデンス
最後にPCIとCABGをどのように選択するかも確認しておきましょう
こちらは先程の虚血性心疾患のフローチャートですが、
最後の部分でPCIとCABGを選択するわけです
基本的にはCABGの方がエビデンスレベル、推奨レベルともに高いですが、
唯一PCIが推奨度が高いのが、1枝病変のLAD近位部に病変がない場合です
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/09/JCS2018_nakamura_yaku.pdf
それ以外は基本的にCABGの方が推奨クラスが高いため、問題として覚える点は限られるでしょう
以上、参考になれば幸いです
コメント
非常にわかりやすい解説ありがとうございます。
一点確認ですが、過去出題されたとある右室梗塞の心電図変化(V3-V6のST上昇)というのは正確には(V3R-V6RのST上昇)という認識で間違いないでしょうか。
ご利用いただきありがとうございます。
こちらの説明不足で申し訳ありません。
おっしゃる通りで、V3R-V6RのST上昇 という認識で良いです。
今後ともよろしくお願いいたします。