ICU(集中治療室)で面会する時に気をつけること

健康管理

 

ICU、集中治療室に大切な家族が入院してしまったとき、今すぐ面会に行きたい、今すぐ顔を見たい、安心させてあげたい、そう思うのは普通の心境です

しかし、ICUという場所は特殊な場所です

患者様の状態はICUに入らなければならない、何らかの重症な病態であり、今会いに行けばすぐに面会できるものでもありません

面会には様々なルールを設けている施設が多く、またそのルールがホームページなどにも記載されていないことも多々あります

そこで、今回は、ICUで面会をするときに気をつけておくこと、事前に準備しておくことについて考えます

集中治療室の面会にはどんなルールがあるのか

集中治療室での面会のルールは各施設で大きく変わりますので、各施設に確認するのが最も良い方法です

とはいえ、具体的にどんなルールがあるのか、を知っておかないと、何を確認すれば良いかがわかりませんね

ここではまずいくつかの施設でのルールを紹介しておきます

集中治療室にはkey personが許可した人しか面会できない

これは私が勤務している大学病院でのルールになります

まず、key personとは、患者様の治療方針やケアに関する意思決定において、中心的な役割を担うご家族や近親者のことを指します

つまり、最も近い親族が必ずしもkey personになるとは限りません

例えば、高齢の夫が入院し、同年代の妻がkeypersonの役割を適切に担えるか、と言えば、認知機能の問題や、頻回に病院まで足を運べないなどの身体的な理由により、難しいことがあります

またkey personには果たすべき役割が多数あります

治療方針や入院手続きなどの意思決定を代行したり、医療者からの情報窓口や親族への情報伝達役となったり、患者様の代弁者となるなど、重要な役割を担います

そのkey personの役割に、面会者を選定する、という役割もあります

例えば患者様本人が、親戚のあの人には会いたくない、と言えば特定の親族は面会できません

事前にkey personが妻と息子家族のみ面会可能とし、その氏名をICUで登録しておけば、それ以外の親族・友人・職場の同僚などはkey personの許可を得なければ面会ができない、という仕組みです

このような仕組みであれば、患者様本人は余計な気遣いなく面会できる人のみと面会でき、安心して治療に専念することができるのです

このようなkey personが中心となる面会制限の場合、まずkey personに連絡を取ってから、自分たちも面会に行くことをお勧めします

集中治療室は24時間面会可能な場合も

これもコロナ前の当院では、ICUとEICUのみ、24時間面会が可能でした

これは、緊急入院で遠方からいらした家族、仕事の後にいらした家族のために設けられた仕組みでした

家族からは非常に好評であり、夜中でも良いなら毎日くることが出来る、といった声もよく聞きました

一方で、スタッフ側からは夜勤で人数が少ないところに面会対応となると非常に手薄になることなど負担が大きかったため、コロナ後からは一般病棟と同じ面会時間になりました

現在でもICUなどの緊急時のみ24時間での面会許可を出している施設は存在するため、通常の時と、緊急の時で面会時間に融通が効くかは、確認しても良いかもしれません

集中治療室の面会は1度に2人まで、1日合計4人まで、などの人数制限がある

こちらは私の知人の病院のICUですが、面会の人数に制限を設けている場合です

人数制限をしたい主な理由は、やはりコロナ禍からの感染対策のようです

実際集中治療室に面会に来ると、手を取ったり、マスクを外したり、感情的になったりする方も多くいらっしゃいますので、このような感染対策を取りたくなる病院側の都合もわかりますね

一方で、面会を制限することで生じる家族側の不利益、例えば子供が5人いるお父さんが入院した場合、誰かがその日は面会できないわけで、そのような不利益を被るのは納得がいかないでしょう

面会の人数に制限があるのか、同時に面会できる人数に制限があるのか、私たち家族の事情などを話して、制限を一時的に緩めてもらえないかなどは相談の余地があるかもしれません

集中治療室の面会は事前に面会時間を連絡した方が良いのか

さて、事前の確認を済ませて、いざ面会に行こう、としたときに、今日の患者様の予定はどうなんだろうか? 何時ぐらいに行けば待たずに面会できるだろうか? など、事前に面会時間を伝えた方がいいのか悩むことがあると思います

これは、結論から言えば、事前に面会時間を知らせてくれると医療者側は助かります

なぜなら、医療者側も家族の面会は大切な時間だと理解していますので、午後3時に来ると分かれば、午前中に必要なケアやリハビリを集中させて、午後にゆっくりと面会できるように配慮することが出来るからです

もちろん、緊急の検査・治療や、事前に時間が決まっている検査・治療もありますので、事前に伝えていたからといって必ずしもすぐに面会できるとは限りません

しかし、医療者側も家族から得られる、治療に活かせる情報を聞きたいこともありますし、インフォームドコンセント(説明と同意)を得るために、医師が時間を合わせることもできます

いつ来るか伝えた方がいいですか?と看護師に聞くと、いつ来て頂いても大丈夫ですよ、と答えてくれるとは思いますが、そこは思い切って、明日の15時に息子家族と4人で来たいと思います、と伝えてくれた方が、医療者側としてはありがたいです

私のような理学療法士が、敢えてリハビリで歩いている様子を見せたりすることで、家族の不安を取り除いたりする取り組みも行っていますので、是非事前に時間を伝えてください

集中治療室で2回目以降の面会のために、確認しておいた方が良い事は

最後に、次回の面会についてです

1回目の面会が終わり、不安と安堵とが入り混じった何とも言えない気持ちで病院を後にすることでしょう

しかしkey personのあなたにはやらなければならないことがいくつかありますので、そちらを確認しておきましょう

現在の患者様の状態を大まかに把握する

もちろん医療は非常に複雑で難しい言葉がたくさん出てきますので、全てを理解することは困難です

しかし、医療者側は順調だと思っているのに、ICUにいるからもう危篤なんだと、過度に不安になりすぎるのも良くないですし、逆の場合はさらにまずいです

ですから、治療の細かいところは置いておいて、順調に回復しているのか、順調でなければ一般的な経過とどれぐらい乖離があるのか、次に行う治療はどんなことか、など、大きな枠組みで理解しておくと良いでしょう

しかし、医師と面会の時に話せるとは限りませんので、そこは看護師さんの力を借りましょう

看護師は病状説明を直接行ってはいけないことは、保健師助産師看護師法(保助看法)に記載されています

一方で、看護師は療養上のお世話は医師の説明の補助をすることは認められています

例え医師から直接説明がもらえなくても、昨日より良い方向に向かっているか、良くなっているとすればどのような点で良くなっていると思うのかを、看護師さんに聞いてみると良いでしょう

当院では、以前よりも人工呼吸器の設定が軽くなり、血圧を上げる薬が昨日より少ないので、少しずつ上向いています、という程度の説明は看護師でも行っています

その程度でも分かっていれば、次回の面会で、以前はこのように聞いていましたが、今日はどうでしょうか、と質問できるので、より病気の状態を理解しやすくなります

準備すべきものを確認する

足りないものは看護師さんから提示されるので、それに従って準備すれば良いかと思います

しかし、それだけでは足りないことも多いので、今一度、以下の記事から準備物を確認してください

看護師さんにも忙しくて伝え忘れもあるでしょう

是非、家族からも看護師に準備物の確認をしておいた方が良いでしょう

夜眠れていないか、手持ち無沙汰になっていないか、せん妄になっていないかなどで準備物も変わりますから、是非まとめ記事を読んでみてください

病院からかかってくる電話番号を確認する

最近は、詐欺電話も多いので、見知らぬ番号からの電話は無視したり、アプリで着信拒否の設定をしている方も多いでしょう

しかし、集中治療室に家族が入院している以上、key personの方はいつ病院から電話がかかってくるかは分かりません

また、医師が持っているPHSは病院の代表番号ではありませんので、表示される電話番号はいわゆる、「見知らぬ番号」に当たりますね

ですからあまり病院からの電話に出てくれないと嘆いている医師をよく見かけます

しかしそれではお互い困ります

お互いがしっかりと情報共有できるように、医師や病院からの電話番号を控えておくと、いざかかってきた時に余計な心配をすることもなくなるでしょう

病院の代表番号ではなく、医師からの番号を控えておくと安心して電話に出られる

次回の面会時間や人数を伝える

最後に、次回の面会の希望を伝えましょう

忙しいので次の面会は1週間後になります、と言われるのと、明日の同じ時間に来ます、と言われるのでは、医療者側の対応も異なります

一週間後と言われると、医師としては、急変時の連絡先は確実にしておいてほしいですし、説明の希望がないかは聞いておきたいところでしょう

看護師としては準備物をきちんと準備してくれるか不安ですし、例えばおむつが足りなくなった時にどうするかなどは確認しておきたいところです

忙しいので1週間後、これ自体は仕方のないことなので、責められることはありませんが、何も言わずに1週間音沙汰なし、だと医療者側からは心配です

次、いつ誰が来るのか、何時ごろまで伝えられると助かりますね

まとめ

いかがでしたでしょうか

面会に行く前に事前の連絡と確認事項、いざ面会に行った時の次の面会の準備についてご理解いただけだでしょうか

ICUの面会は緊張する方が多いので、事前の準備が大切です

落ち着いて面会できるよう、予め準備しておきましょう

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