心不全療養指導士の過去問は市販されていません。ガイドブック改訂第3版に沿ったオリジナル問題を全306問つくりました。この記事の問題もその一部です。第1章の10問は無料で試せます。
こたちです。
心不全療養指導士試験のステージ別療養指導分野から、問題を3問置いておきます。8章はステージごとに療養指導の目標が変わるという分野です。分類そのものではなく「そのステージで何を目標にするか」が問われます。
解説は問題のすぐ下にあります。先に自分で考えてから読んでください。
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージA)
心不全ステージA(心不全リスク)に対する療養指導の中心として最も適切なものはどれか。
① 危険因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙など)の管理と生活習慣の改善
② 緩和ケア・終末期ケア
③ 補助人工心臓の準備
④ 心臓移植の適応評価
⑤ 強心薬の導入
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージA) 解説
正解は①です。
療養指導の中心
ステージA(心不全リスク)では、構造的/機能的心疾患の発症を予防するため、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙などの危険因子の管理と、定期的な運動・体重管理・健康的な食生活・禁煙・節酒といった生活習慣の改善が療養指導の中心となる。(改訂第3版 p.188)
あわせて覚えておきたいところです。
・ステージB(前心不全)では、構造的/機能的心疾患の進展および症候性心不全の発症予防が最大の目標となる。心不全は進行性であり、ひとたび心不全(ステージC)を発症するとステージBに戻ることはないためである。
・ステージC(症候性心不全)では、治療や患者の療養行動により心不全増悪・突然死を予防し、ステージDへの移行を遅らせることが療養指導の目標である。つまり治療や療養行動により心不全の「病の軌跡」を改善できることを示すことが重要である。
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージC)
ステージC患者が新たな心不全治療薬(ARNIなど)を開始する際の療養指導として最も適切なものはどれか。
① 血圧低下などを「副作用」「下がりすぎ」と捉えて服薬に抵抗を示すことがあるため、薬の意義を説明し継続を支援する
② 副作用が出たら自己判断で中止させる
③ 新薬の情報は把握しなくてよい
④ 血圧が下がったら必ず中止する
⑤ 患者の不安には対応しない
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージC) 解説
正解は①です。
新しい治療薬を始めるときの指導
新たな薬剤を始める際、患者は副作用に敏感となり調子が悪いことを副作用と捉えて継続に抵抗を示すことがある。たとえばARNIはACE阻害薬から置き換えられ予後改善に有効だが血圧低下をきたすことがあり、患者が「下がりすぎ」と捉えることがある。薬の意義を説明し継続を支援する。心不全治療は新たなエビデンスをもとに更新されるため新しい治療情報を得ておく必要がある。(改訂第3版 p.192)
あわせて覚えておきたいところです。
・ステージCの療養指導において最も重要なことは、患者が心不全の病態を正しく理解し、心不全増悪を予防する療養行動が実践できることである。心機能の低下や病状の進行により、これまで通りの療養ではうまくいかなくなったり新たな療養行動を取り入れる必要に迫られたりするため、混乱しないよう支援する。
・ステージCは長期間にわたり療養行動を実践していく必要があり、初回心不全から何度も心不全入院を繰り返すまで、患者は何度も療養指導を受け自分なりの療養行動を身につけていく。心機能低下や病状進行に伴い療養行動の見直しが必要になる。
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージD)
心不全ステージD(治療抵抗性心不全)の療養指導の目標として最も適切なものはどれか。
① 病状の進行に対するアセスメントを踏まえ、病状理解を促す介入や増悪時の早期対処を含む症状緩和を目指す
② 危険因子の予防のみを行う
③ 心不全を完全に治癒させる
④ 高強度の運動を行わせる
⑤ 緩和ケアは行わない
心不全療養指導士 過去問 ステージ別療養指導(ステージD) 解説
正解は①です。
療養指導の目標
ステージDでは、病状の進行に対するアセスメントを踏まえつつ、患者の病状理解を促す介入や増悪時の早期対処を含む症状緩和を目指すことが療養指導の目標である。人生の最終段階に差し迫る状況では、緩和ケア・ACP・終末期ケアをさらに重視する。(改訂第3版 p.194)
あわせて覚えておきたいところです。
・心不全が進行し人生の最終段階に差し迫る状況では、緩和ケアやACP、終末期ケアを重視し、全人的苦痛を可能な限り和らげる療養指導が必要である。患者と家族のQOLおよびQOD(quality of death、最期を迎えるときのあり方)を十分に考慮する。
・ステージDでは症状緩和・緩和ケア・ACP・終末期ケアが重視され、危険因子の一次予防のみが目標となるわけではない。各ステージで療養指導の目標は異なり、進行に応じて予防から症状緩和・緩和ケアへと重点が移っていく。
この分野の出題ポイント
ステージ別は「分類」ではなく「そのステージで何を目標にするか」が問われます。Aは発症予防、Bは心機能低下の進行予防、Cは再入院予防とQOL、Dは症状緩和と意思決定支援。目標が入れ替わった選択肢が定番です。
もっと解きたい方へ
ここに出した3問は、私が作ったオリジナル問題306問の一部です。ガイドブック改訂第3版の章立てに沿って並べてあるので、ステージ別療養指導だけを続けて解くこともできます。
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※ 問題は「心不全療養指導士認定試験ガイドブック 改訂第3版」(日本循環器学会編・南江堂)に沿って筆者が作成したオリジナル問題です。認定試験の過去問題は公開されていません。解説中のページ番号は改訂第3版のものです。試験日や受験要件は日本循環器学会の公表内容をご確認ください。


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