心不全療養指導士の過去問は市販されていません。ガイドブック改訂第3版に沿ったオリジナル問題を全306問つくりました。この記事の問題もその一部です。第1章の10問は無料で試せます。
こたちです。
心不全療養指導士試験の運動療法分野から、問題を3問置いておきます。運動療法はPTの得意分野ですが、試験では「ガイドブックに書いてある数字」で問われます。臨床の感覚で答えると外すので、頻度と強度の数字を確認しておいてください。
解説は問題のすぐ下にあります。先に自分で考えてから読んでください。
心不全療養指導士 過去問 運動療法(有酸素運動の頻度)
NYHA心機能分類に応じた有酸素運動の実施頻度として、ガイドブックに示されているものはどれか。
① NYHA I〜II度では5回/週まで漸増、NYHA III度の重症では3回/週程度が好ましい
② すべての患者で毎日2回実施する
③ NYHA IV度の安静時症状例で高強度運動を行う
④ 頻度は重症度と無関係である
⑤ 週1回で十分である
心不全療養指導士 過去問 運動療法(有酸素運動の頻度) 解説
正解は①です。
NYHA分類に応じた実施頻度
有酸素運動の実施頻度は、NYHA心機能分類I〜II度では5回/週まで徐々に漸増してもよく、NYHA III度の重症心不全患者では3回/週程度が好ましい。レジスタンストレーニングは2〜3回/週程度、隔日で実施することが推奨される。(改訂第3版 p.156)
あわせて覚えておきたいところです。
・食事直後は食物の消化・吸収のため腸の血液需要が増加し、運動を行うと腸および骨格筋への血液供給が不足して心不全徴候の出現や増悪を招く危険性がある。そのため食後2時間程度経過してから運動療法を実施することが推奨される。
・6分間歩行試験は、米国胸部疾患学会(ATS)が推奨する測定方法が標準的で、原則6分間に歩行路を往復してできるだけ長い距離を歩く運動耐容能の評価法である。最大努力下で実施されたかを確認する方法がないため、結果の解釈には注意が必要である。
心不全療養指導士 過去問 運動療法(CPXなしの運動処方)
心肺運動負荷試験(CPX)を施行していない心不全患者に対する有酸素運動の運動処方として、ガイドブックに示されている開始の目安はどれか。
① Borg指数11〜12から開始し、運動時心拍数120拍/分以下、5〜10分×2回/日から開始する
② Borg指数17以上の高強度から開始する
③ 運動時心拍数を180拍/分まで上げる
④ 1回60分の運動から開始する
⑤ 心拍数の制限は不要である
心不全療養指導士 過去問 運動療法(CPXなしの運動処方) 解説
正解は①です。
開始の目安
CPX未施行例の有酸素運動の運動処方では、Borg指数11〜12から開始し、運動時心拍数120拍/分以下を目安とし、5〜10分×2回/日から開始して3〜5回/週で実施する。レジスタンストレーニングはBorg指数13未満で10〜15回×1〜3セットから開始する。(改訂第3版 p.160)
あわせて覚えておきたいところです。
・運動療法を開始する際は、医学的評価・身体機能評価・生活機能評価を実施したうえで、心肺運動負荷試験で安全域を確認し、個々の患者のニーズに適した運動処方を行う。高齢や補助人工心臓装着といった条件のみでは運動療法の禁忌の対象とはならない。
・心拍数の設定が困難な心房細動患者では、Borg指数11〜13などを指標に運動処方を行う。安静時心拍数が110拍/分以上であれば運動療法を中止または強度を漸減し短時間にとどめ、運動療法中に150拍/分以上の過度の心拍数上昇を認める場合も運動強度を漸減する。
心不全療養指導士 過去問 運動療法(レジスタンストレーニング)
心不全患者のレジスタンストレーニングの運動強度(%最大1回反復重量=%1RM)の分類として正しいものはどれか。
① 低強度<30%、中等度30〜40%、高強度40〜60%
② 低強度<50%、中等度50〜70%、高強度70〜90%
③ 低強度<10%、中等度10〜20%、高強度20〜30%
④ 強度はすべて80%以上で行う
⑤ %1RMは運動強度の指標にならない
心不全療養指導士 過去問 運動療法(レジスタンストレーニング) 解説
正解は①です。
%1RMの分類
レジスタンストレーニングの運動強度は%最大1回反復重量(%1RM)で決定され、低強度<30%、中等度30〜40%、高強度40〜60%とされる。自覚的運動強度ではBorg指数で評価する。(改訂第3版 p.156)
あわせて覚えておきたいところです。
・自覚的運動強度(Borg指数)は、嫌気性代謝閾値レベルの中等度運動の目安として11〜13程度が用いられる。心拍数による強度設定が困難な心房細動患者などでも有用な指標である。
・心不全患者の運動療法は、原則として開始初期は監視型、安定期では監視型と非監視型(在宅運動療法)との併用とする。非監視型を行う際は低強度の運動から開始し、心不全手帳などに実施状況・歩数などを記入してもらい、診療時に確認する。
この分野の出題ポイント
運動療法はPTの得意分野ですが、試験では臨床の感覚ではなくガイドブックの数字で問われます。NYHA別の頻度、CPXがないときの開始目安、%1RMの区分、Borg指数の使い方。数字を先に固めてください。
もっと解きたい方へ
ここに出した3問は、私が作ったオリジナル問題306問の一部です。ガイドブック改訂第3版の章立てに沿って並べてあるので、運動療法だけを続けて解くこともできます。
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※ デモ版は第1章の10問のみです。
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※ 問題は「心不全療養指導士認定試験ガイドブック 改訂第3版」(日本循環器学会編・南江堂)に沿って筆者が作成したオリジナル問題です。認定試験の過去問題は公開されていません。解説中のページ番号は改訂第3版のものです。試験日や受験要件は日本循環器学会の公表内容をご確認ください。


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