心不全療養指導士の過去問は市販されていません。ガイドブック改訂第3版に沿ったオリジナル問題を全306問つくりました。この記事の問題もその一部です。第1章の10問は無料で試せます。
こたちです。
心不全療養指導士試験の検査分野から、問題を3問置いておきます。検査の分野は数字が勝負です。BNPの基準値、CTRの基準、肺うっ血が進むときのX線所見の順番。どれも覚えているかどうかだけで決まります。
解説は問題のすぐ下にあります。先に自分で考えてから読んでください。
心不全療養指導士 過去問 検査(BNPの基準値)
「2025年改訂版心不全診療ガイドライン」等で、心不全の可能性が極めて低いと判断できる(高い陰性適中率の)基準値として正しいものはどれか。
① BNP ≦ 18.4 pg/mL、NT-proBNP ≦ 55 pg/mL
② BNP ≧ 100 pg/mL、NT-proBNP ≧ 300 pg/mL
③ BNP ≧ 35 pg/mL、NT-proBNP ≧ 125 pg/mL
④ BNP ≧ 740 pg/mL
⑤ BNP ≧ 500 pg/mL
心不全療養指導士 過去問 検査(BNPの基準値) 解説
正解は①です。
心不全の可能性が極めて低い値
基準値はBNP ≦ 18.4 pg/mL、NT-proBNP ≦ 55 pg/mLで、この値より低い場合は潜在的な心不全の可能性が極めて低いと判断できる(高い陰性適中率)。BNP 35〜100(NT-proBNP 125〜300)で前心不全または症候性心不全の可能性、BNP 100以上(NT-proBNP 300以上)で入院心不全増悪のカットオフとされる。(改訂第3版 p.65〜66)
あわせて覚えておきたいところです。
・BNPやNT-proBNP濃度は変動しやすいため変化率も考慮し、前回に比べてBNPが40%以上、NT-proBNPが30%以上上昇したときには心不全増悪の可能性を考慮し、その原因を探索する。
・ガイドラインで推奨されるすべての心不全治療が試みられた、ないし検討されたにもかかわらず特徴的なBNP高値(>740 pg/mL)を認める場合は、ステージD(治療抵抗性心不全)へ移行している可能性があり、移植施設などへの紹介を考慮する必要がある。
心不全療養指導士 過去問 検査(心胸郭比(CTR))
心胸郭比(CTR)に関する記述として正しいものはどれか。
① 胸郭横径に対する心横径の比で、心拡大の評価に用いる
② 心エコーで測定する指標である
③ 左室駆出率を反映する
④ 正常では70%以上である
⑤ 肺活量を反映する
心不全療養指導士 過去問 検査(心胸郭比(CTR)) 解説
正解は①です。
基準と測り方
心胸郭比(CTR)は胸部X線写真で、胸郭横径(C)に対する心横径(胸骨中心より心陰影右縁までの距離A+左縁までの距離B)の比(A+B)/Cで算出し、心拡大の評価に用いる。正常は43%程度で、一般にCTR 50%以上で心拡大とされる。(改訂第3版 p.66〜68)
あわせて覚えておきたいところです。
・通常は後前(PA)撮影を行うが、患者が立てない場合やポータブルX線では前後(AP)撮影を行う。AP撮影はPA撮影に比べて心臓が大きく写るため、心陰影の評価ではどちらの撮影かを確認する必要がある。
・胸水の評価では、正面像にて肋骨横隔膜角(costophrenic angle:CP angle)の鈍化を確認する。胸水が少量の場合は側面像での葉間胸水の評価も有用である。
心不全療養指導士 過去問 検査(肺うっ血のX線)
肺うっ血の進展に伴う胸部X線所見の順序として正しいものはどれか。
① 肺血管陰影の再分布(上肺野血管の拡張)→ 間質性肺水腫(Kerley’s B line)→ 肺胞性肺水腫(butterfly様陰影)
② butterfly様陰影 → Kerley’s B line → 肺血管陰影の再分布
③ 胸水貯留 → 心拡大 → 肺血管再分布
④ 肺胞性肺水腫 → 肺血管再分布 → 間質性浮腫
⑤ 所見はすべて同時に出現する
心不全療養指導士 過去問 検査(肺うっ血のX線) 解説
正解は①です。
所見が出る順序
肺うっ血は、左房圧・肺静脈圧の上昇(15〜20 mmHg)に伴い肺血管陰影の再分布(下肺野血管が細くなり上肺野血管が太くなる=cephalization)が生じ、20〜30 mmHgで間質性浮腫・Kerley’s B line・肺血管陰影の不鮮明化、30 mmHg以上で肺胞性肺水腫・butterfly様陰影と進展する。(改訂第3版 p.68〜70)
あわせて覚えておきたいところです。
・左心不全では左室充満圧(拡張末期圧)の上昇→左房圧・肺静脈圧・肺毛細管圧の上昇→肺うっ血・肺胞間質浮腫をきたすため、労作時呼吸困難・起座呼吸・発作性夜間呼吸困難などを生じる。体静脈うっ血(右心不全)では頸静脈怒張・下腿浮腫・肝腫大を生じる。
・肺高血圧症は肺動脈圧の上昇を認める病態の総称で、従来は平均肺動脈圧25 mmHg以上と定義されていたが、本邦の最新ガイドラインでは安静時の平均肺動脈圧が20 mmHgを超えた場合と定義が変更された。原因により5群に分類される。
この分野の出題ポイント
検査は数字がそのまま答えになります。BNPとNT-proBNPの基準値、CTRの基準、肺うっ血が進む順序、エコーで見る指標。ARNIを使っているときのBNPの解釈は引っかけで出やすいところです。
もっと解きたい方へ
ここに出した3問は、私が作ったオリジナル問題306問の一部です。ガイドブック改訂第3版の章立てに沿って並べてあるので、検査だけを続けて解くこともできます。
検査編だけでは足りないと感じたら、全13章306問のアプリで続けて解けます。間違えた問題だけを自動で集めて復習できるので、自分の弱い章が数字で見えてきます。
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※ デモ版は第1章の10問のみです。
あわせて読みたい
→ 心不全療養指導士の試験、何をどこまで勉強すればいいの?(勉強の順番と13分野)
→ BNPとエコーの読み方
→ 心不全療養指導士の過去問 診断・身体所見編
→ 心不全療養指導士の過去問 薬物治療編
※ 問題は「心不全療養指導士認定試験ガイドブック 改訂第3版」(日本循環器学会編・南江堂)に沿って筆者が作成したオリジナル問題です。認定試験の過去問題は公開されていません。解説中のページ番号は改訂第3版のものです。試験日や受験要件は日本循環器学会の公表内容をご確認ください。


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