心不全療養指導士の過去問は市販されていません。ガイドブック改訂第3版に沿ったオリジナル問題を全306問つくりました。この記事の問題もその一部です。第1章の10問は無料で試せます。
こたちです。
心不全療養指導士試験の心不全の概念分野から、問題を3問置いておきます。2章は心不全の定義とLVEFによる分類です。HFrEF・HFmrEF・HFpEFの境目は数字で問われるので、ここは覚えるしかありません。
解説は問題のすぐ下にあります。先に自分で考えてから読んでください。
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(心不全の定義)
「2025年改訂版心不全診療ガイドライン」における心不全の定義として最も適切なものはどれか。
① 心臓の構造・機能的な異常により、うっ血や心内圧上昇、および/または心拍出量低下や組織低灌流をきたし、呼吸困難・浮腫・倦怠感などの症状や運動耐容能低下を呈する症候群
② 心電図でST変化を認める状態
③ 左室駆出率が40%未満となった状態のみ
④ 血圧が低下しショックに至った状態
⑤ 心臓の弁に器質的異常を認める状態
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(心不全の定義) 解説
正解は①です。
ガイドラインの定義
ガイドラインでは心不全を「心臓の構造・機能的な異常により、うっ血や心内圧上昇、および/または心拍出量低下や組織低灌流をきたし、呼吸困難・浮腫・倦怠感などの症状や運動耐容能低下を呈する症候群」と定義している。心不全は単一の疾患ではなく症候群である。(改訂第3版 p.8〜9)
あわせて覚えておきたいところです。
・心不全は、①心臓の構造・機能の異常、②代償機転の作動、③心拍出量低下・うっ血・心内圧上昇による症状徴候・運動耐容能低下を共通の特徴とし、進行性で死亡につながりうる症候群である。
・一般向けには「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と表現される。本来“病気”ではなく症候群であるが、わかりやすくするための表現である。
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(HFrEF)
わが国の診療ガイドラインにおける左室駆出率(LVEF)による分類で、HFrEFの定義として正しいものはどれか。
① LVEF 50%以上
② LVEF 41〜49%
③ LVEF 40%以下
④ LVEF 60%以上
⑤ LVEFによらず分類する
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(HFrEF) 解説
正解は③です。
LVEFによる分類の境目
LVEFの低下した心不全(HFrEF)はLVEF 40%以下の心不全で、左室収縮機能障害が主体である。LVEF 41〜49%はHFmrEF、LVEF 50%以上はHFpEFに分類される。(改訂第3版 p.9〜11)
あわせて覚えておきたいところです。
・HFpEFはLVEF 50%以上の心不全で、主に左室拡張機能障害が関与する。拡張機能障害があると前負荷の増加で左室拡張末期圧が上昇しやすく、左房圧・肺静脈圧(肺動脈楔入圧)の上昇から肺うっ血をきたしうる。高血圧性心疾患や肥大型心筋症などでみられる。
・心不全増悪の誘因は、塩分・水分の過多や過労など患者に由来する要因と、肺炎・不整脈・心筋虚血などの医学的要因に分けられる。これらを正しく理解し予防することが、発症・増悪の抑制の点から療養指導において重要である。
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(HFmrEF)
LVEF 41〜49%の心不全を表す分類はどれか。
① HFrEF
② HFmrEF
③ HFpEF
④ HFimpEF
⑤ de novo HF
心不全療養指導士 過去問 心不全の概念(HFmrEF) 解説
正解は②です。
41〜49%をどう呼ぶか
LVEF 41〜49%の軽度低下した心不全をHFmrEF(heart failure with mildly reduced ejection fraction)という。LVEF≦40%がHFrEF、≧50%がHFpEFである。(改訂第3版 p.9〜11)
あわせて覚えておきたいところです。
・ステージA(心不全リスク)は、高血圧・糖尿病・動脈硬化性疾患・慢性腎臓病・肥満・心筋症の家族歴/遺伝子変異・心毒性物質への曝露などの危険因子はあるが、構造的・機能的心疾患や心不全の症状・徴候がない段階である。
・ステージB(前心不全)は、構造的・機能的心疾患、安静時/負荷時の心内圧上昇所見、またはナトリウム利尿ペプチド・心筋トロポニンの持続的上昇のいずれかを有するが、心不全の症状・徴候がない段階である。
この分野の出題ポイント
定義とLVEF分類は、どの年度でも形を変えて問われる土台です。HFrEF・HFmrEF・HFpEFの境目の数字と、新規発症や増悪を表す用語の使い分けを、言葉と数字の両方で覚えておくと安全です。
もっと解きたい方へ
ここに出した3問は、私が作ったオリジナル問題306問の一部です。ガイドブック改訂第3版の章立てに沿って並べてあるので、心不全の概念だけを続けて解くこともできます。
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※ 問題は「心不全療養指導士認定試験ガイドブック 改訂第3版」(日本循環器学会編・南江堂)に沿って筆者が作成したオリジナル問題です。認定試験の過去問題は公開されていません。解説中のページ番号は改訂第3版のものです。試験日や受験要件は日本循環器学会の公表内容をご確認ください。


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