心不全療養指導士の過去問は市販されていません。ガイドブック改訂第3版に沿ったオリジナル問題を全306問つくりました。この記事の問題もその一部です。第1章の10問は無料で試せます。
こたちです。
心不全療養指導士試験の診断・身体所見分野から、問題を3問置いておきます。5章のうち身体所見の部分です。Nohria-Stevenson分類とNYHA心機能分類は頻出で、しかも臨床でそのまま使います。ここは落とせません。
解説は問題のすぐ下にあります。先に自分で考えてから読んでください。
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(夜間発作性呼吸困難)
重症の左心不全に特徴的で、就寝後2〜4時間後に息苦しさで眠れなくなる症状はどれか。
① 起座呼吸
② 労作時呼吸困難
③ 発作性夜間呼吸困難
④ Cheyne-Stokes呼吸
⑤ 過換気
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(夜間発作性呼吸困難) 解説
正解は③です。
就寝後2〜4時間の息苦しさ
発作性夜間呼吸困難は、就寝前は症状がなく就寝後2〜4時間後に息苦しさで眠れなくなる症状で、重症左心不全に特徴的であり、Framinghamの大基準にも規定されている。下肢などに貯留した間質液が横になることで血管内に戻り、左室充満圧が上昇して肺水腫をきたすことが一因とされる。(改訂第3版 p.58〜59)
あわせて覚えておきたいところです。
・左心不全では左室充満圧(拡張末期圧)の上昇→左房圧・肺静脈圧・肺毛細管圧の上昇→肺うっ血・肺胞間質浮腫をきたすため、労作時呼吸困難・起座呼吸・発作性夜間呼吸困難などを生じる。体静脈うっ血(右心不全)では頸静脈怒張・下腿浮腫・肝腫大を生じる。
・右心不全に伴う体静脈うっ血では、頸静脈怒張・下腿(下肢)の浮腫・肝腫大などを認める。一方、起座呼吸や発作性夜間呼吸困難、ピンク色泡沫状痰は左心不全による肺うっ血・肺水腫の所見である。
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(Nohria-Stevenson分類)
Nohria-Stevenson分類で「うっ血所見あり・低灌流所見なし(wet-warm)」に該当するプロファイルはどれか。
① Profile A
② Profile B
③ Profile C
④ Profile L
⑤ Profile D
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(Nohria-Stevenson分類) 解説
正解は②です。
うっ血と低灌流の組み合わせ
Nohria-Stevenson分類は、うっ血所見の有無(wet/dry)と低灌流所見の有無(cold/warm)の2軸で4つに分類する。Profile A=dry-warm(うっ血なし・低灌流なし)、Profile B=wet-warm(うっ血あり・低灌流なし)、Profile C=wet-cold(うっ血あり・低灌流あり)、Profile L=dry-cold(うっ血なし・低灌流あり)である。(改訂第3版 p.59)
あわせて覚えておきたいところです。
・短期間での死亡例はうっ血を伴うProfile C(wet-cold)とProfile B(wet-warm)に多いことが明らかにされている。Nohria-Stevenson分類は身体所見からうっ血・低灌流を評価し、予後予測や治療方針決定に有用である。
・低灌流では、意識障害・抑うつ・不安・せん妄などの精神神経症状が認められることがある。これらは非特異的かつ多彩であるため、特に高齢の心不全患者では見過ごされる危険性があり注意が必要である。
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(NYHA分類)
NYHA心機能分類で「安静時にも心不全症状を認め、わずかな身体活動でも症状が増悪する」状態に該当するものはどれか。
① NYHA I度
② NYHA II度
③ NYHA III度
④ NYHA IV度
⑤ NYHA 0度
心不全療養指導士 過去問 診断・身体所見(NYHA分類) 解説
正解は④です。
安静時にも症状がある状態
NYHA心機能分類IV度は、いかなる身体活動も制限され、安静時にも心不全症状(呼吸困難・狭心痛など)を認め、わずかな労作で増悪する状態である。I度は身体活動の制限なし、II度は軽度〜中等度の制限、III度は高度の制限(日常労作以下の軽労作で症状)を示す。(改訂第3版 p.62)
あわせて覚えておきたいところです。
・NYHA心機能分類は、患者の自覚症状(身体活動能力)に基づく重症度分類で、簡便に身体活動度からおよその予後予測につながる。たとえば最もよい治療を行ってもNYHA II度より改善しない症例では、ステージD(治療抵抗性心不全)への移行を念頭に置く必要がある。
・洞不全症候群は、洞結節やその周囲の障害により高度の徐脈をきたす症候群で、I型(洞徐脈<50回/分)・II型(洞房ブロック・洞停止)・III型(徐脈頻脈症候群)に分類される。完全房室ブロックは房室ブロック(3度)であり、洞不全症候群とは別の徐脈性不整脈である。
この分野の出題ポイント
身体所見は、分類の名前と当てはめ方が問われます。Nohria-Stevenson分類の4象限、NYHAのI〜IV、起坐呼吸と夜間発作性呼吸困難の違い。右心不全と左心不全の所見を分けて整理しておくと迷いません。
もっと解きたい方へ
ここに出した3問は、私が作ったオリジナル問題306問の一部です。ガイドブック改訂第3版の章立てに沿って並べてあるので、診断・身体所見だけを続けて解くこともできます。
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※ 問題は「心不全療養指導士認定試験ガイドブック 改訂第3版」(日本循環器学会編・南江堂)に沿って筆者が作成したオリジナル問題です。認定試験の過去問題は公開されていません。解説中のページ番号は改訂第3版のものです。試験日や受験要件は日本循環器学会の公表内容をご確認ください。


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